ハンググライダーと旅の記録

 

Hang Gliding Japan

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Posted on 18:14:06 «Edit»
2013
01/31
Thu
Category:World Championships

2013世界選手権回想録 その11 Day8 Task7 

1月14日
北西に249kmのストレートゴール。
task7

これで6日連続の競技。
ルールブックでは、翌日をレストデイにすることができる、とあるが、アメリカ人の競技委員長は続けたい意向のようだ。
「どうしてもレストデイにしたい選手は手を挙げろ」というような聞き方をしている。
「手を挙げるのは選手だけだ、チームリーダーは数えない」ということも言う。
何故こうも挑発的なのか、意味がわからない。


とにかく競技は始まった。
選手達は毎日、過酷な気象条件にも音を上げず淡々と準備を進めている。








パドックが渋く、テイクオフのサポートをしていると出遅れる。
しかも追い風ストレートなので、車で追っても追ってもグライダーにはなかなか追いつけない。

130km前後で選手2人が降りたという連絡が来た頃、ようやく私も同じ辺り。
この2人はみっちゃん号に任せて、さらに北上。

170kmほどのあたりで太田君がランディング。
トノヤンも低いと言っているようだが詳細不明。

農場の柵を二つほど通って、太田君を回収。
周囲が森林なので、昼間からカンガルーが次々飛び出してきて危なっかしい。
羊の群れも曲者。まっすぐ道路上を逃げていくので、いつまでも勧めない。横にくれないかな。。。


次に、氏家さんが農場に降りているという連絡。
農場主に電話をかわってもらい、詳細を聞くと、降りた場所は道から離れているので、大きな道まで送ってあげる、そこでまた座標を送るようにする、という話。いつもながら、オーストラリアは親切な人が多くて嬉しくなる。

道路の情報ももらえたので、それほど迷わずに無事回収。
午後9時、ちょうど日が暮れた頃。
幹線道路に出て、町に行けば夕食にありつけるかと思いきや、店は全て閉まっている。
次に使えそうな町は150kmほど先。そこまで行けばガソリン屋があるだろうし、ガソリン屋ならば軽食くらいは置いているだろう。

急ぎたいのはやまやまなのだが、夜中はカンガルーが出没するので、あまり飛ばしていると轢いてしまう。
動物を轢きたくないというだけでなく、カンガルーを轢いてしまうと車も無事ではすまないのだ。こんなところで車を壊して途方に暮れるのは嫌だ。

連日の回収で疲れがたまっているところに、スピードを抑えた運転を強いられるので、眠くなってくる。
これはまずい。
と思っていると、イタリアチームの車が追いついてきて、あっさり抜いていった。
カンガルーが怖くないのか、と思いつつ、「チャンス!!!」見逃すわけにはいかない。
アクセルを踏み込みイタリア車の背後にくっつく。
悪いが、盾になってもらおう。

イタリアのチームリーダー、フラビオとは毎年顔を合わせているので、すっかり友達になっている。
時速115kmで道路の真ん中をかっ飛ばすフラビオとのカーチェイス。
眠気は一気に吹き飛んだ。
お互い、ハングパイロットでありながら、選手のサポートに明け暮れる毎日。
今、こうしてフラビオと、同じ立場で、選手と機体を満載して、共に車を走らせている。
私の車の中の選手達は寝ている。おそらくイタリアの選手も寝ているだろう。

夜中のハイウェイで、我々の競技をしている、という気持ちがする。
きっと彼も同じ気持ちだったのではないかと思う。

我々は途中の町のガソリン屋でケバブとカップ麺を食べて本部に帰着。
とっくに日付は変わって12時半頃。

そこでまたもや問題発生。
前日のタスク6で、Dubboの飛行場の管制圏に入っていた選手が大幅な減点を受けているのだ。
減点になったのは、この日の夕方に出された抗議文が発端で、抗議を出した選手は「私は管制圏に入らないように注意しながら降りる場所を探した。管制圏に入った選手はしかるべく減点されるべきである」というもの。

居合わせた各国チームリーダー、これを読んで憤慨する。
これを貼りだしてあったのが、掲示板の右下隅の目立たないところだったことも、疑念を増幅させた。
「こっそりと減点を発表して、誰も気付かないうちに期限切れで確定するつもりではないか?」

チームリーダー同士で緊急会議。
皆で頭をひねって抗議文の文案を作り出す。
1.競技選手が飛行している時間に減点の通知が発表されたのでは、それに対する抗議ができない。
2.管制空域に入らざるを得なかったのは、時速60kmを超える強風の中、安全を確保するためであった。
3.安全に降りるためにやむを得ず管制空域に入った選手にペナルティを課すのならば、このタスクは無効とすべきである。

誰かが競技委員長を呼び出して説明したが、こんな時間に叩き起こされたせいもあってか不機嫌そのもので、我々を口汚く罵って去っていった。

我々は翌朝8時半に再び集まって対策を練ることにした。
これは、寝る時間はないな。
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Posted on 17:25:07 «Edit»
2013
01/31
Thu
Category:World Championships

2013世界選手権回想録 その10 Day7 Task6 

1月13日
朝から強い風が吹いていたが、競技を決行。
112km北上した後、東に128km進む、総距離240km。
これが後に大きな禍根を遺すことになる、因縁のタスク。
task6

大会主催者の気象の読みは「前半は南風、ターンポイントから先は西風になる」とのこと。
そう上手くいくものなのか?






私はパドックから選手達を送り出すと、先頭集団の真下に付けることができた。
地表の風、標高、他の選手の動向を逐一伝えながら前進する。

「南風、5~6m」
「ちょっと強まってきた。7~8m」

ターンポイントを過ぎたあたりから、風がさらに強くなってきた。
日本チームは全員ターンポイントをクリアしているが、ここから先は、ゴールまで直線で進むと、ちょうど丘陵地の、しかも森林地帯の上を通ることになる。
幹線道路はゴールまでつながっているが、道路はタスクコースの10km以上も北側を通っている。
そこで、森林地帯の中を通る道路を行くことにする。途中からダートロードになるが、仕方あるまい。

この道を進み始めてすぐに、木が大きく揺れているのが目に入った。10m/sはある。
「地表の風、10mを超えてます。降りることになった場合は広くて安全な場所をよく選ぶように」

同時に、大会本部に連絡を取る。
「TP1付近、風が非常に強い。タスクを続行すべきではない」

本部にこう伝えたことを、選手に伝えるべきか、悩む。
見るからに強風なので、競技を続行せず降りるよう勧めても良いのではないか。
(実際、ドイツのチームリーダーはそうしていた)

しかし、予報の西風が入ってくれば、競技を続行し、ゴール者が出る可能性もある。
その場合、タスクストップの可能性を下手に伝えて、選手の動揺を誘うのもまずい。
空中にいる選手と比べて、地上からわかることは非常に限られているのだ。

後に選手達に言われたのは、こういう場合は「本部にタスクストップを進言した」という事実だけを伝えてほしい、ということ。その上でどう判断して行動するかは、選手が決めることだと。
なるほど、飛んでいる選手にとって有益な情報とは、そういうことか。

私が大会本部に進言して20分ほどして、タスクストップの連絡が来た。
本部から各国地上班への連絡手段は携帯電話のSMS。こうも圏外になる土地で、どのくらい当てにして良いものか、とも思うが、今は通じたことに感謝する。

「タスクストップが宣言されました。安全な場所を選んで降りてください」

選手達から続々と着陸地点の座標が送られてくる。
結局、コースから大きくそれた幹線道路沿いにほとんどの選手が降りている。

最初に回収したちーちゃんは、強風の中、一歩も動けずに待っていた。
二人がかりで機体を片付ける。たたんだセールでさえ風に煽られ、大騒ぎしながらのブレークダウンだ。
隣に降りているロシア人は悠々と片付けている。強風に慣れているということか。

濱里号・みっちゃん号の2台にも割振りをして、全員すぐ近くにいることがわかったので、回収完了と思いハンバーガー屋で夕食。明るいうちに片付いてよかった。

念のため回収状況を電話で確認すると、太田君がまだだという。
川の対岸、2kmくらいまでは近寄れるのだが、そこから渡る方法が見つからないという。
これは手間取ると直感し、急遽、回収の応援に向かう。

最終的には、太田君と同じ場所にいた他国選手に無線で連絡をもらい、道路の名前とそこに至る橋の情報を聞いて、下流に20kmほど下ってから川を渡って回収することができた。この間、3時間ほど。砂嵐のように風が吹き付ける中で待っていた太田君を回収した時には、11時近くになっていたように記憶している。
大会本部に帰着したのは、またしても日付が変わった後だった。

本当に、ここでの回収は難しい。
座標がわかっていても、そこに至る正解の道路を見つけるのが困難なのだ。
選手も、地上班も、疲労を蓄積していく。
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Posted on 23:27:28 «Edit»
2013
01/30
Wed
Category:World Championships

2013世界選手権回想録 その9 Day6 Task5 

1月12日
東北東に113km、北北西に21km、西北西に45km、南に18kmの総距離198kmタスク。
風の予報は西~北西で6~8m/s、第1レグは追い風、第2・第3レグはかなり強い向い風になる。




前半の展開は早いとみて、今日も全員出発する前に濱里君を走らせる。
心得たもので、頃合いを見て自分から「そろそろ出発します」と言ってくる、でかした奴だ。


この日は福富がシドニーから駆けつけてくれたので、濱里号にナビゲーター兼通信係として乗ってもらう。
運転しながら情報を集めたり送ったりするのは慣れていても大変なので、助手がいてくれると大助かりなのだ。


第1レグは追い風ではあるものの、コース上をまっすぐ飛ぶと森林公園を通ることになるので、回収車としては道路の選択が重要になる。コースの南側と北側、どちらの道路を選ぶべきか。
一度選んでしまうと、80kmほど先まで道路が合流しないのだ。
通常、ハンググライダーはやや風上方向に修正しながら飛ぶので、北側を選択。
先頭集団を追いかけて行くと、予想通り順調な進み方のようだ。
と思っていると、50kmほど走ったあたりでトノヤンまさかのランディング!
座標を聞くと、南側の道路沿い!!

先頭集団には濱里号を張り付けてあるし、第1ターンポイントから先は向い風の区間なので、先頭集団の進みも遅くなるはず、という読みで、トノヤンの回収を優先。
40kmほど引き返して南側に渡り、トノヤンを回収。
ベテランはわかりやすい場所に降りていてくれるので回収が早くて助かる。

再び北側の道路に出て先頭集団を追うと、やはり第2ターンポイントの先で苦戦している模様。
と、そこに本部から携帯電話のメッセージ。
「ガストフロント接近、タスクストップ!!」

選手たちに情報を伝え、安全な場所に降りるよう指示する。
ほとんどの選手は第2と第3ターンポイントの間に降りていて、それほど苦労せずに全員回収。

一番早かった選手は第3ターンポイントを取っていたようだが、そのままタスクストップにならなかったとしても、強風に阻まれてゴールは困難だったに違いない。
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Posted on 19:06:40 «Edit»
2013
01/29
Tue
Category:World Championships

2013世界選手権回想録 その8 Day5 Task4 

1月11日
100km南下した後、東に100km進むタスク。
2013WMtask4

注意点は二つ。
・ターンポイントを過ぎた後、ゴール手前84km地点(写真の赤線)から先は8500フィート(2590m)の高度制限がかかること。
・ゴールの標高が880mあること。

つまり、後半に行けば行くほど対地高度が取れなくなる。
高度制限違反は、100m以内ならば1回目で警告、2回で失格。
100m以上の違反は1発で失格だ。

回収車の段取りは、例によってゴール先行車の濱里君を走らせる。
今日は特に、高度制限のかかる地点で待ちかまえ、選手達に数字を伝えて注意を促すことと、地面の標高を順次伝えることを指示する。







私はできるだけ集団の真下を追い、みっちゃん号は後詰め。途中はショートカットしてもよい、と伝えて出発。


ターンポイントまでは順調そのもので、今日は全員ゴールではないかと期待する。
時おり行き会う他国の回収車とも話をするが、いずれも順調そう。

しかし、そう甘くはなかった。
残り50kmを切ったあたりから標高が高くなり、サーマルも渋くなってきて、一部の選手から苦しそうなレポートが入り始める。
地形も平坦ではなく、なだらかな丘と谷になってきて、降ろす場所を選ぶのに苦労しそうだ。

「トノヤン降りそう」と聞いて道を引き返すと、「回収車見えた、ワシは大丈夫」と言うので、みっちゃんに任せることにする。
そこに「氏家さん降りそう」という連絡。
見当を付けて横道に入ると、そのまま声が聞こえなくなる。
これは参ったな、と思いながら探していると、ちーちゃんから降りたという連絡。座標入りのメールだが、道路沿いではなく南側の線路沿いに降りているという。
座標を追ってダートを走ると、農場の奥の高い丘の上で行き止まりになってしまった。

さて、どうしたものかと思っていると、四輪バギーで農場主がやってきた。
「私の家の前を通ったか?」
「はい、5分ほど前に」
ハンググライダーの世界選手権をしていて、チームのパイロットを探していること、GPSの矢印を見せて、この方向にいるはずだ、ということを告げる。
「あれじゃないかな。普段あの場所にない物が見える」
あ、ホントだ。まぎれもなくちーちゃんのコンバットだ。
しかし、農場の真ん中で、道路はつながっていないようだ。

「あの場所にはどうやったら行けますか?」
「あの農場の持ち主に連絡してあげよう。電話するから、家まで来てくれるかな」
農場主のトニーさんの家までついて行き、電話をしてもらうがつながらない。
「では、私が案内してあげよう。後で家まで乗せてきてくれればいいよ」

なんという親切!
オーストラリアは親切な人が多いのだ。

一旦幹線道路に出直して、丘を越えて、農場のゲートをいくつも開けて・・・
線路はあったが廃線で、レールが草に埋もれている。
こんな道、一人では見つけられなかったろうな。
最後は道もなくなり、麦畑(刈取り済み)の中を進む。
そして鉄条網に突き当たる。
ちーちゃんまで500m・・・発見!!

あとは歩いていくしかない。
トニーさん「私も行こう」
「でも、車をこのまま置いておくと火事になりませんか?」
高温と乾燥のため山火事が頻発しているので、枯草の上に駐車しないように、と大会本部でも繰返し注意されていることを思い出した。
「では、私が車を見ていよう」

ちーちゃんはハーネスと尾翼を抱えて歩いてくる。
私は機体を取りに行き、担いで走る。
・・・・・
無事回収。明るいうちに済んでよかった。

結局、氏家さんはトノヤンとともにみっちゃん号に回収された、他の選手は皆ゴール(もしくはゴール直前)で、濱里号に回収されたとの報告。

我々が一番最後と思って帰路につくと、道端に停まっている車を発見。
あれ?日本チームだ。
携帯電話を落としたので捜しているというが、これは難しい。
3台とも合流して、日没まで探したが、もう無理と判断して諦めてもらう。

遅くなった時、頼りになるのはチャイニーズレストラン。
カウラの町で食事にありつき一安心。
日付が変わる前に宿に戻れた、ように思う。
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Posted on 23:38:35 «Edit»
2013
01/26
Sat
Category:World Championships

2013世界選手権回想録 その7 Day4 Task3 

1月10日
深夜までかかった回収の疲れに加えて、段取りに失敗したという気落ちもあって、朝、どうにも力が出ない。
こんな時こそ、壮行会でもらったリゲインの出番!
こういうのを普段飲むことはないが、「ガンバ!北野さん!」と書いてあるのを読むだけでも気力が回復してきた。

気を取り直して3本目のタスクは、南方向に行ってフォーブスに戻ってくるトライアングル127km。
選手にとっては必ず向かい風の区間ができるので手強いタスクと思ったが、ふたを開けてみれば104人中77人ゴール!
日本チームも5人ゴール、回収もあっさり済んで、体力回復できて一安心。

今回の競技を見ていて思うのは、「集団は速い!」ということだ。
従来、平地でのフライトといえど、先頭を切って走り出し、先にサーマルを見つけて上げた選手が有利になるという面はあったと思う。
今回は、30機から、時には60機もの先頭集団が一斉に動いて、より良いリフトに誰かが当たればそこに殺到し、高い選手が動き始めるとその下の選手も一斉に走り出す、という動きが特徴的だった。
大群で良いリフトやコースを探すので、とにかく効率が良い。
単独行動をして、多少良いリフトを見つけたとしても、大群には及ばない。
そして、大群に残った選手がファイナルグライドで勝負をつける。
スタートで出遅れてしまうと、はじめから少数での行動を強いられるので、ハナから勝ち目がなくなる。
それどころか、平均速度が落ちてしまうので、時間切れになってゴールに届くことさえできなくなる。

近年、日本の選手もヨーロッパの山岳エリアで良い成績が出せるようになってきていたが、平地の飛び方はいつの間にか変わってきているようだ。大会中のわずかな日数で、新しい飛び方に対応することはできるだろうか。

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Posted on 21:46:54 «Edit»
2013
01/25
Fri
Category:World Championships

2013世界選手権回想録 その6 Day3 Task2 

1月9日
競技3日目は渋い予報。
サーマル高度1600m(地面の標高230m)で風下の北方向に130km進み、さらに東に30kmの160kmタスク。




フォーブスのパドックがとにかく渋く、アレックスやプリモシュのような最強クラスの選手まで降りてきてリフライトしている。
日本チームも繰り返しリフライト、ちーちゃんは4本!


ゴール先導車の濱里号は先に送り出したものの、私はテイクオフのサポートに時間をかけすぎて出遅れる。
グライダーは直線で進むが、車は道に従って進まなければならないので、特に追い風タスクでは併走するのもなかなか難しい。今日は出足からつまずいているようだ。

出発してそれほど進まないうちに、ちーちゃんが降りたという報告。
スナマンからは、日本の電話番号から着信音が1回鳴って、それきり連絡が取れない。
不穏な気配だ。

私は先に集団がいると信じて100kmほど走るが、その間ずっと電話の圏外。
無線も聞こえない。
これは困った。選手がどこにいるのか全くわからない。

<途中で遭遇した羊の群れ>


タスクコースと経過時間から見当を付けていた走っていても機影が見えないので、仕方なく大きく引き返す。
ある町でようやく電話の電波が通じた。
不在着信の通知とメールが30件ほど一度に入ってくる。

ようやく把握できた状況
氏家さんとスナマンは70~80kmほど飛んで降りた。
板さんとユウジはゴール。
トノヤンは第1ターンポイントを取って降りた。
ちーちゃんはアメリカの回収車に拾われた。
太田君の座標が何故か濱里君から送られてきた。しかも、それは本部のビッキーさんから教えてもらったという。
事情がわからないが、きっと農家にでも駆け込んだのだろう。

後発回収車のみっちゃんとユカちゃんに、氏家さんとスナマンを託す。
私は太田君とトノヤンを回収することにする。
この時点では、座標がわかっているのですぐに片付くだろうと思っていた。

しかし太田君の回収は困難を極めた。
携帯電話は一切使えない。
無線も、地上に降りてしまうと見通しで1km程度しか通じない。
GPSの座標からは、舗装道路から農場に入って5km程度と出るのだが、ゲートを何回も開閉して農場の中に入って行くと、あと2kmで行き止まり、あと1km程度なのだが深い森、というパターンを4回ほども繰り返すことになる。

道端で途方に暮れているブラジル人選手を見つけ、どんな状況だったかを聞く。
「みんな低く突っ込んでいった。この先には大きな道はない。俺もこの通り、大きな道で待っているのに一向に回収されないよ。幸い、この農家にかくまってもらえるから、何とかなるけどな」

その次に入った農道が、ようやく正解だった。
曲がりくねったダートロードを8kmほど進むと、大型トラクターの脇に太田君発見!!!

日が暮れる前に発見できてよかった。
太田君、もう涙目。今日は帰れないと覚悟し、トラクターの中で寝ようと思っていたそうだ。

いわく、高度がなくなったので人がいるところに降りようと思い、動いているトラクターの近くに降りた。
乗っていたのは農場主の娘で、事情を話すとブースターをつけた携帯電話で父親に連絡、父親はフォーブスの世界選手権という情報だけで何故かビッキーさんの連絡先を探し出し、座標を伝えてくれた。その座標を濱里君に伝えてくれたので、それを私が聞いた、という流れだったのだ。
娘は「すぐに回収が来てくれるわよ、じゃあね!」と言って帰ってしまったそうだ。

ここから出るのがまた大変。
すっかり日が暮れてしまい、来た通りに戻ることができない。
迷いながら進んで行くと、農場主が車で探しに来てくれた。
帰り道を聞きつつ、もう1人の選手(トノヤン)も気がかりだというと、「では、そこに出る近道を教えてあげよう」と言って、ダートの中の抜け道を教えてくれる。

しばらくその道を探して右往左往するが、慣れないダート道でしかも夜中のこと、行き止まりに遭ったり牛の群れに進路を阻まれたりして、迷宮から出られる気がしない。
仕方がないので、途中で見つけた、町の方向を指した標識に従い、遠回りでも確実に幹線道路に出ることを選択する。この時点で午後10時過ぎ。

ようやく幹線道路に出て、電話が通じるところまで出ると、案の定、まだトノヤンは回収されていない。
みっちゃん号も我々同様の苦戦をして、ようやく氏家さんとスナマンを回収したのだが、トノヤンがまだと聞いて100km北まで回収に向かっているとのこと。
ああ、濱里号にトノヤンを頼んでおけばよかった。
この時点で11時頃。

本部に帰着したのは1時半頃。
宿に戻ってシャワーを浴びて寝たのは2時40分頃、のような気がする・・・

日本でもヨーロッパでも、これほど回収に手こずったことはない。
道路事情も携帯電話網も、まったく違う。
これがオーストラリアの現実だ。
こういう土地で、選手達は飛び、地上班は回収に走り回らなければならない。
しかも、圧倒されている暇さえない。
明日からも競技は続くのだ。
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Posted on 20:53:39 «Edit»
2013
01/25
Fri
Category:World Championships

2013世界選手権回想録 その5 DAY2 タスクキャンセル 

1月8日
競技2日目は朝から強風のためキャンセル。
ネットに飢えた日本チーム、揃ってフォーブスの町のパブでネット三昧。
というのも、宿ではネット回線が細すぎてほとんど使えず、大会本部も大人数が集まると接続できないので、せっかく日本に情報を送ろうと思っても、思うに任せない日々が続いていたのです。

日本で当たり前のようにどこでもネットにつながることが、どれだけありがたいか痛感しました。
オーストラリアの田舎町での交通や通信のインフラの不便さを、後日さらに思い知らされることになります。


午後は板垣さんと川に泳ぎに行きました。
泥で濁った川で、流れもゆっくりに見えたのですが、泳いでみると意外に流れが速く、川幅10mほどの対岸に着くまでにかなり流されました。
偏流飛行の教科書のような動きです。

そして、じっとしていると何かがチョンチョンと突っついてきます。
??
「アイタ、足先かじられた!」
「俺は脇腹!」

どうやら小エビのよう。
捕まえて唐揚げにしてやろうと思ったものの、2人で1匹ずつしか捕えられなかったので断念。
体長5cmほどの透き通った色のエビでした。

帰りは5分ほど歩いている間に服はほぼ乾いてしまい、シャワーを浴びて洗濯をして、平和な1日が過ぎていきました。
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Posted on 15:05:41 «Edit»
2013
01/24
Thu
Category:World Championships

2013世界選手権回想録 その4 Day1 Task1 

初日は追い風で160km流して行くタスク。日本チームは5人ゴール、ゴールし損なった選手も100km以上は飛んで、回収もさして苦労せずまずまずの初日。
野尻選手(ちーちゃん)は女子一位のゴール。コリーナ、キャサリン、フランソワーズといった歴戦の選手を抑えて、最高の世界デビュー。これで顔と名前を覚えてもらえたのは大きな収穫。

指定された番号の位置にセットアップ。


暑さ対策の散水車。これにくっついて全身水浸しにしてもらうと最高に涼しい。大丈夫、30分で乾きます。






見よ!
我らのちーちゃん、世界の頂点だッ!!
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Posted on 14:47:52 «Edit»
2013
01/24
Thu
Category:World Championships

2013世界選手権回想録 その3 公式練習日 

開会式の翌日に公式練習日、実際にタスクを組んでフライト。
スタッフの慣熟も兼ねているかな、という印象。運営は日ごとに円滑になっていきました。
車の温度計は既に45℃。最高気温は48℃の日もあれば32℃程度の日もあり、夜中には20℃を切ることもあり、寒暖の差が激しい土地。練習日に風邪を引いた選手もいて心配したが本戦中は全員健康に過ごせました。




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Posted on 14:36:36 «Edit»
2013
01/24
Thu
Category:World Championships

2013世界選手権回想録 その2 開会式 

フォーブスの町の、中心部ではなくなぜか町はずれをパレードして開会式会場へ。
式の後はBBQ。オーストラリアのBBQ=黒焦げと思っていたら意外や意外、程よい焼き加減でした。





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Posted on 23:13:31 «Edit»
2013
01/23
Wed
Category:World Championships

2013世界選手権回想録 その1 練習日 

真冬の日本から乾燥機のようなフォーブスに入り、気候順化しつつ生活のリズムを作り、練習フライトに励む日々。














スプログ検査。デニス・ペイゲン氏にやり方を教わりつつ。今回からチームリーダーが計測することになった。ゴールで抜き打ち検査をして、規定値を超えていたら減点の対象になる、と。何もわかっていないFAIの役員に測られるよりは余程良いか。

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Posted on 21:29:03 «Edit»
2013
01/17
Thu
Category:World Championships

世界選手権終了 

最終日、10本目のタスクの回収を終えて、先ほど宿に帰ってきました。
大会中は朝から晩まで(日付が変わるまで)走り続け、ネット接続も貧弱だったため、全然更新できませんでした。後日、思い出しながら書いていこうと思っています。

成績は皆さんのご期待には程遠いものでしたが、選手たちは今持っている力を振り絞って頑張りました。
この大会で得られた経験と教訓を、今後日本の皆さんと共有するためにどうしたら良いか、考えているところです。

フェイスブックやツイッターで毎日応援下さった皆さん、ありがとうございました。
コメントにも回答できませんでしたが、とても励みになりました。
チームを代表してお礼申し上げます。

日本代表チームリーダー
北野正浩
tb: (0)    com: (0)
Posted on 11:28:11 «Edit»
2013
01/08
Tue
Category:World Championships

競技初日 

初日は追い風の160kmタスク。
サーマルが2000mも上がらないので苦戦しつつも、日本チーム5人ゴールでした。
野尻知里選手は女子で1番!コリーナにもキャサリンにも勝っての堂々たる成績です。人よりも努力している姿をずっと見てきたので、私も嬉しく思います。
団体成績も6位、首位オーストラリアまで300点差なのでまだまだ勝負はこれからです。
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Posted on 05:54:01 «Edit»
2013
01/04
Fri
Category:World Championships

世界選手権 日本代表チーム集合 

1月1日発の飛行機で日本を出て、2日の昼には関西勢とシドニーで合流。
レンタカーを借りて、運送会社の倉庫にグライダーを引き取りに行き、キャリアーを作って、いざ出発、というころには既に夕方。
睡魔と戦いながら内陸400kmのフォーブスを目指します。

日付が変わる頃に宿に到着、先発組と合流して一安心。

1月3日
ショートパックした機体を組み立て、携帯電話その他必需品を買い出ししてからパドックへ。
既に各国選手が練習を開始しているので我々もセットアップ。
テイクオフは3時~4時と遅かったもののリフトは豊富で、思い思いに調整できた模様。


ネット環境が良くないのでなかなか更新できませんが、これからも随時報告します。
今日はこれから本部でスプログ計測の説明を聞きに行ってきます。
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